2016年6月11日土曜日

チャップリンの演説『独裁者』で英語学習(日英対訳)


世の中には歴史に残る演説がたくさんありますが、この演説はご存じでしょうか?

『独裁者』(原題:The Great Dictator)という映画の最後のシーンでの演説です。

この映画は(以下、Wikipediaから引用)1940年に公開したアメリカ映画で、チャールズ・チャップリンが監督・製作・脚本・主演を務めた。チャップリンがアドルフ・ヒトラーの独裁政治を批判した作品で、ヒトラーとナチズムに対して非常に大胆に非難と風刺をしつつ、ヨーロッパにおけるユダヤ人の苦況をコミカルながらも生々しく描いている。

「コミカルな人」で有名のチャップリンですが、写真の表情を見て分かる通り、真剣なまなざしがかなり迫力ありますね。

この演説は2年ほど前にYoutubeの関連動画で見つけたのですが、初めて観たときは鳥肌が立ちました。

この感動をみんなにもシェアしたいという想いでブログを書きました。まだ観たことのない人は、ぜひこのページ下の動画からご覧になってください。(演説時間:約3分)

この前書いた「オバマ大統領 広島演説 全文(日英対訳)」のときと同じように、日英対訳の形式でまとめました。難しい英単語には「英辞郎」のリンクを貼っているので、クリックして意味の確認に役立ててください。おまけとして文法事項の解説をしているところもあります。

<引用先>


Im sorry, but I dont want to be an emperor. Thats not my business. I dont want to rule or conquer anyone. I should like to help everyone if possible Jew, Gentile, black man, white.

申し訳ないが、私は皇帝などなりたくない。それは私には関わりのないことだ。誰も支配も征服もしたくない。できることなら皆を助けたい、ユダヤ人も、ユダヤ人以外も、黒人も、白人も。



We all want to help one another, human beings are like that. We want to live by each others happiness, not by each others misery. We dont want to hate and despise one another.

私たちは皆、助け合いたいのだ。人間とはそういうものなんだ。私たちは皆、他人の不幸ではなく、お互いの幸福と寄り添って生きたいのだ。私たちは憎み合ったり、見下し合ったりなどしたくないのだ。



In this world theres room for everyone and the good earth is rich, and can provide for everyone. The way of life can be free and beautiful. But we have lost the way. Greed has poisoned mens souls, has barricaded the world with hate, has goose-stepped us into misery and bloodshed.

この世界には、全人類が暮らせるだけの場所があり、大地は豊かで、皆に恵みを与えてくれる。人生の生き方は自由で美しい。しかし、私たちは生き方を見失ってしまったのだ。欲が人の魂を毒し、憎しみと共に世界を閉鎖し、不幸、惨劇へと私たちを行進させた。



We have developed speed, but we have shut ourselves in. Machinery that gives abundance has left us in want.

私たちはスピードを開発したが、それによって自分自身を孤立させた。ゆとりを与えてくれる機械により、貧困を作り上げた。

*leave O C: OCの状態にする



Our knowledge has made us cynical, our cleverness hard and unkind. We think too much and feel too little. More than machinery, we need humanity. More than cleverness, we need kindness and gentleness. Without these qualities life will be violent, and all will be lost.

知識は私たちを皮肉にし、知恵は私たちを冷たく、薄情にした。私たちは考え過ぎで、感じなさ過ぎる。機械よりも、私たちには人類愛が必要なのだ。賢さよりも、優しさや思いやりが必要なのだ。そういう感情なしには、世の中は暴力で満ち、全てが失われてしまう。

*made us cynical, (made) our cleverness {hard and unkind}



The aeroplane and the radio have brought us closer together. The very nature of these inventions cries out for the goodness in men, cries out for universal brotherhood for the unity of us all.

飛行機やラジオが私たちの距離を縮めてくれた。そんな発明の本質は人間の良心に呼びかけ、世界がひとつになることを呼びかける。



Even now my voice is reaching millions throughout the world, millions of despairing men, women and little children victims of a system that makes men torture and imprison innocent people.

今も、私の声は世界中の何百万人もの人々のもとに、絶望した男性達、女性達、子供達、罪のない人達を拷問し、投獄する組織の犠牲者のもとに届いている。

*A  B(ダッシュ):「AつまりB」を表している(何百人もの~、つまり彼らはthat~のシステムの犠牲者である)
*makes men {torture and imprison} innocent peoplemake O COCさせる」のCtortureimprisonで、どちらもinnocent peopleを目的語としている



To those who can hear me I say: Do not despair. The misery that is now upon us is but the passing of greed, the bitterness of men who fear the way of human progress, the hate of men who will pass, and dictators die. And the power they took from the people will return to the people. And so long as men die, liberty will never perish.

私の声が聞こえる人達に言う、「絶望してはいけない」。 私たちに覆いかぶさっている不幸は、単に過ぎ去る欲であり、人間の進歩を恐れる者の嫌悪なのだ。 憎しみは消え去り、独裁者たちは死に絶え、人々から奪いとられた権力は、人々のもとに返されるだろう。 決して人間が永遠には生きることがないように、自由も滅びることもない。



Soldiers, dont give yourselves to brutes men who despise you, enslave you, who regiment your lives, tell you what to do, what to think and what to feel, who drill you, diet you, treat you like cattle, use you as cannon fodder.

兵士たちよ。 獣たちに身を託してはいけない。君たちを見下し、奴隷にし、人生を操る者たちは、君たちが何をし、何を考え、何を感じるかを指図し、そして、君たちを仕込み、食べ物を制限する者たちは、君たちを家畜として、単なるコマとして扱うのだ。



Dont give yourselves to these unnatural men! Machine men, with machine minds and machine hearts! You are not machines! You are not cattle! You are men! You have the love of humanity in your hearts. You dont hate. Only the unloved hate, the unloved and the unnatural.

そんな自然に反する者たち、機械のマインド、機械の心を持った機械人間たちに、身を託してはいけない。君たちは機械じゃない。君たちは家畜じゃない。君たちは人間だ。君たちは心に人類愛を持った人間だ。憎んではいけない。愛されない者だけが憎むのだ。愛されず、自然に反する者だけだ。

*the + 形容詞=形容詞 people
*Only the unloved hate: S:Only the unloved / V: hate 
*the unloved (hate) and the unnatural (hate)



Soldiers, dont fight for slavery! Fight for liberty!  In the seventeenth chapter of St. Luke it is written: The Kingdom of God is within man.Not one man, nor a group of men, but in all men! In you!

兵士よ。奴隷を作るために闘うな。自由のために闘え。『ルカによる福音書』の17章に、「神の国は人間の中にある」と書かれている。一人の人間ではなく、一部の人間でもなく、全ての人間の中なのだ。君たちの中になんだ。



You, the people, have the power! The power to create machines. The power to create happiness. You the people have the power to make this life free and beautiful, to make this life a wonderful adventure.

君たち、人々は、機械を作り上げる力、幸福を作り上げる力があるんだ。君たち、人々は人生を自由に、美しいものに、この人生を素晴らしい冒険にする力を持っているんだ。



Then in the name of democracy, let us use that power. Let us all unite! Let us fight for a new world. A decent world, that will give men a chance to work, that will give youth a future and old age a security.

だから、民主国家の名のもとに、その力を使おうではないか。皆でひとつになろう。新しい世界のために、皆が雇用の機会を与えられる、君たちが未来を与えられる、老後に安定を与えてくれる、常識のある世界のために闘おう。

*give youth a future and (give) old age a security



By the promise of these things, brutes have risen to power. But they lie. They do not fulfill that promise. They never will. Dictators free themselves, but they enslave the people.

そんな約束をしながら獣たちも権力を伸ばしてきたが、奴らを嘘をつく。約束を果たさない。これからも果たしはしないだろう。独裁者たちは自分たちを自由し、人々を奴隷にする。 

*They never will (fulfill that promise).



Now let us fight to fulfill that promise. Let us fight to free the world. To do away with national barriers. To do away with greed with hate and intolerance.

今こそ、約束を実現させるために闘おう。世界を自由にするために、国境のバリアを失くすために、憎しみと耐え切れない苦しみと一緒に貪欲を失くすために闘おう。 



Let us fight for a world of reason. A world where science and progress will lead to all mens happiness. Soldiers, in the name of democracy, let us all unite!

理性のある世界のために、科学と進歩が全人類の幸福へと導いてくれる世界のために闘おう。兵士たちよ。民主国家の名のもとに、皆でひとつになろう。




※編集なし(映画そのままの)動画はこちら。演説後のハンナに語りかける部分まで観ることができます。

感動した人はぜひ、音読・オーバーラッピング・シャドーイング・暗唱まで!

最後まで読んでいただきありがとうございました。


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